まず、何が問題になったか

通謀虚偽表示なら94条の無効、詐欺なら96条の取消しというように、問題の原因から規定を選びます。取消し可能な行為は、取り消されるまでは取り消せるものとして効力を持ち、取り消すと初めから無効であったとみなされます(121条)。

取消しできることと、実際に取り消したことは別です。 対して、合意した代金が支払われないなど、成立後の履行に問題がある場合には解除の規定を検討します。

無効・取消し・解除は、きっかけも要件も同じではありません。「支払わなかったので詐欺として必ず取消し」と原因を飛び越えず、問題文に示された事実を整理します。

整理して、見比べる無効・取消し・解除の整理
仕組み出発点読み分ける条件
無効 初めから効力が認められない 無効の原因と第三者保護
取消し 取り消せる行為を取り消す 取消原因・実際の取消し・第三者保護
解除 成立した契約の解消 解除原因・催告等の要件・第三者の権利

催告解除には、待つ期間と例外がある

541条では、債務が履行されない場合、相当の期間を定めて履行を催告し、その期間に履行がなければ解除できます。ただし、期間経過時の不履行が契約や取引上の社会通念に照らして軽微なら、この規定で解除できません。

1日遅れたら何でも即解除、と覚えないこと。 542条には、債務全部の履行を明確に拒絶した場合など、催告をしなくても解除できる場合があります。

さらに543条では、不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるとき、債権者は541・542条で解除できません。この授業では、問題に催告、期間経過、軽微でないこと、債権者側の原因がないことを明示して判断します。

戻す義務と、第三者への影響を分ける

無効な行為による給付には121条の2の原状回復があり、取消しの場合も121条との関係で考えます。返還の範囲には無償行為や意思能力・行為能力に関する特則があるため、どの場合も一律に全額返すという説明にはしません。

本単元では原状回復の存在を押さえ、具体的な返還額の計算は扱いません。 解除では545条により相互に原状回復の義務を負いますが、第三者の権利を害することはできません。

返還する金銭の利息・物の果実や損害賠償の問題も規定されています。取消しについても原因ごとの第三者保護規定があります。

第三者の権利取得時点や不動産の登記等によって検討が変わるため、「契約を戻せば、関係する人の権利も全部消える」とまとめないことが大切です。