人物を、役割つきで置く

Aが売主、Bが買主なら、Aは財産権を移すことを約し、Bは代金を払うことを約します(民法555条)。同じ人が相手に対して権利と義務を持つので、「買主だから権利だけ」と考えません。

代金についてはAが請求する側でBが支払う側、財産権の移転については反対になります。 問題文のA・Bをそのまま覚えるより、紙に「A=売主」「B=買主」と書き、矢印に代金や財産権の移転といった中身を添えます。

引渡し・登記の時期などが定められていれば、それも別に置きます。人物の役割が入れ替わる問題では、この一手間が判断の出発点になります。

整理して、見比べる契約と権利関係の読み方の整理
見る段階確認すること机の売買の例
申込み・承諾 契約内容が合意されたか 机を2万円で売る・買う
履行期 いつ実行する約束か 代金支払と引渡しは翌日
履行 約束を実行したか 翌日に代金と机を受け渡す

成立と履行を、時間で分ける

契約は、内容を示した申込みに対し相手方が承諾すると成立します(522条)。たとえば「この机を2万円で売る」という申込みを相手が承諾した時点と、翌日に代金を払い机を渡す時点を分けます。

後者の、約束を実行することが履行です。代金未払いだから必ず契約未成立、とはいえません。

「価格を相談しているだけ」「申込みをしたがまだ承諾されていない」と、内容が合意された状態は違います。また、契約が成立していても、履行の時期がまだ来ていないことがあります。

成立の有無、いつ履行すべきか、実際に履行したかを一つの問いにまとめないことが大切です。

書面の原則と、別の法令上の義務

民法522条2項では、法令に特別な定めがある場合を除き、契約成立に書面等の方式を要求していません。この原則は「すべての契約が口頭でよい」「不動産取引に書面は不要」という意味ではありません。

成立の方式に関する特則と、取引の説明・記録・書面交付等の義務を区別します。 宅建業者が関わる取引には宅建業法の重要事項説明や契約成立後の書面交付等の規定があります。

一定の条件の下で書面の電子化も認められています。ここでは民法の成立と履行の読み方を学び、宅建業法の具体的な手続は扱いません。

実際の契約では適用される法令や契約内容を個別に確認する必要があります。